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妊娠と風邪

風邪はお薬では治らない?

妊婦さんから「風邪をひいたので妊娠中でも飲めるお薬を下さい」
という相談を時々受けます。
薬剤投与やレントゲン検査は、妊娠14週頃までは
出来れば避けたいものではあります。
風邪はお薬で早く治すことは出来ません。
昨今では非医療従事者にも周知されるようになって来ましたが、
風邪の原因の大半はウィルスです。
インフルエンザなどごく一部のウィルスを除き、
風邪に有効な抗ウィルス薬は存在しません。
日本では「風邪には抗生剤」という悪習があり、現代においても、
効くはずのない抗生剤が濫用されているという現状があります。
 
では風邪を治す方法は何があるでしょうか。
残念ながら体内の免疫でウィルスを排除するしかありません。
免疫を促進する意味合いで、十分に栄養と休養が必要になります。
言い方を変えれば、お薬は飲まなくても風邪は治る、
ということです。したがって、
「ただの風邪」でわざわざ医療機関を受診するよりは、
自宅でゆっくり過ごすことの方が大事です。
 
とはいえ、
「症状が辛過ぎて栄養も休養もあったものじゃない」という状況や
「子供がいるのに休んでいられない」という状況も
あるかと思います。
「咳がひどくてお腹が張る」、
「熱が辛いので解熱剤を使用したい」など、
ひどい症状を緩和させる目的でそれぞれの症状に応じた
お薬を処方することはあります。
しかしこれも根本的に風邪を治すものではありませんので、
お薬でいくら症状が楽になったからといって、
無理をして通常の活動を続ければ風邪をこじらせてしまいます。
 
本当に「ただの風邪」であれば、産婦人科でも内科でも
処方されるお薬はほとんど同じです。
また、それらの成分の多くは市販の総合感冒薬に含まれています。
総合感冒薬は鼻水・咳・たん・発熱・頭痛など複数の症状に
対しての成分が含まれており、
使い方によっては便利な側面もあります。
また症状が辛い場合も、近隣の薬局でお薬を購入する方が
待ち時間も短く便利かと思います。
 
ではどんなお薬なら良いのか?
親切な薬剤師さんがいれば店舗で相談に乗ってもらえるかも
しれませんが、常駐していないこともあります。
 
Amazonや価格ドットコムで
ランキング上位のお薬の成分を調べてみたところ、一番安心なのは
 
「新コンタック かぜ総合」  でした。
 
下記の表をご参照下さい。
もちろん、他のお薬も大丈夫ではあるのですが、
解熱・鎮痛成分として
イブプロフェンを含有するもの
(バファリンかぜEX錠、ルルアタックEX、エスタックイブファインEX、ベンザブロックL錠)は、
妊娠後期(妊娠28週以降)の服用は避けるべきです。
また鎮咳成分として
ジヒドロコデインリン酸塩を含有するもの
(パブロンゴールドA、パブロンSゴールドW、新ルルAゴールドDX)は
長期服用を避けるべきです。
しかし2~5日間程度の服用であれば妊娠に影響が出る可能性は
極めて低いと思われます。
それ以上の期間、頑固な咳が続く場合は咳喘息や特殊な細菌に
感染している可能性もありますので内科受診をお勧めします。
 
また一方、妊婦さんは免疫が低下していることも事実です。
「市販の風邪薬では治らない位重症だ!」と思われる場合には
内科で必要に応じた精査をお勧め致します。
「妊婦さんの診療は自信がない」とおっしゃる先生も
いらっしゃいますが、
胸部レントゲン写真1~2枚を撮影した程度の被爆では、
赤ちゃんへの影響は限りなく0に近いです。
「ただの風邪」では不要な検査ですが、
重症を疑う症状であれば必要な検査でしょう。
また、下記の表の範囲内で処方を受ける分には構いません。
 
もちろん、腹痛・性器出血など産科の症状を伴っている場合には
大鳥居医院にご相談下さい。

風邪のお薬

市販薬の主な成分

風邪薬成分一覧表

(2020-04-09 ・ 256KB)

抗生物質・抗ウィルス薬

 
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