帝王切開について
帝王切開
予定帝王切開は火曜日と金曜日の13時から行っています。前日(月曜日または木曜日)の夕方に入院していただき、胎児の状態の確認や、手術当日の朝からは絶飲食で点滴を行うなど、手術の準備が始まります。
術後は翌日から食事が始まります。腸を切除する手術でも最近は食事再開が早くなっています。その方が術後合併症が少ないそうです。当院では粥食から再開しますが、手術翌日の晩御飯は常食になります。
術後は6日め前後に退院前の診察を行います。縫合時に使用する糸は全て吸収糸なので、抜糸は不要です。経過が良好であれば、通常術後7日目(手術日と同じ曜日)での退院となります。
帝王切開には選択的帝王切開(予定帝王切開)と、緊急帝王切開があります。
以下のような理由で帝王切開を行います。
- 選択的帝王切開:骨盤位妊娠、既往帝王切開後妊娠、明らかな児頭骨盤不均衡など
- 緊急帝王切開:胎児機能不全、分娩停止、妊娠高血圧症候群重症など
つまり、経腟分娩が困難と判断して最初から帝王切開を計画することを選択的帝王切開と言い、経腟分娩の途中に胎児または母体の状態悪化などにより、経腟分娩を断念して行うものを緊急帝王切開と言います。
予想される手術時間は、約1時間(麻酔時間を除く)です。
手術の方法
手術の合併症
麻酔について
胎児への影響も考慮して脊椎麻酔・硬膜外麻酔を行います。
脊椎麻酔 背中から針を刺し、脊髄の周りのくも膜下腔に2ml程度のごく少量の局所麻酔薬を注入することで、胸や臍から足先までの運動・感覚が速やかに消失する麻酔です。手術終了直後は足が動きませんが、術後数時間で効果が消失します。
硬膜外麻酔 同じく背中からの麻酔です。硬膜外腔(脊椎麻酔を行う部位よりも浅い位置)にカテーテルを留置し、局所麻酔剤を少量ずつ持続的に注入する方法です。効果発現は緩やかですが、薬剤の追加・持続投与が可能で、主に術後の痛みを抑える目的で行います。術後1~2日程度で、投与を終了しカテーテルを抜去します。
麻酔の流れ
①手術室では、まず心電図や血圧計等を装着します。
②手術は胎児が出るまでは意識のある状態で、麻酔は脊椎麻酔・硬膜外麻酔のみで行います。母体の意識がなくなる麻酔(全身麻酔)を行うと胎児にも麻酔薬が移行してしまい、産まれた後すぐに泣かない(呼吸をしない)可能性があるからです。脊椎麻酔・硬膜外麻酔はベッド上で横向きの姿勢で行います。針が腰の背骨と背骨の間に進んで行きやすいよう、膝を抱え込んで顔はへそをのぞき込む姿勢を取って下さい。
③手術は意識のある状態で行いますが、脊椎麻酔が十分に効いた状態で手術を行うので、痛みを感じることはありません。胎児が出た後は、30分程度で手術終了すると見込まれます。覚醒した状態で手術を続けても良いですが、希望があれば全身麻酔の薬を投与し眠っていただくことも可能です。